主人公が人間臭い!これこそガンダムならではの魅力!

ガンダム以外のアニメ作品を視聴するとわかりますが、アニメの主人公というのは華やか、もしくは、独特な雰囲気を持っているものです。

言い方を変えるとアニメらしい、非現実的だと感じるような主人公はたくさんいます。ですが、ガンダムの主人公はアムロ・レイにしろ、カミーユ・ビダンにしろ、人間臭い、もしくは物分りが悪い主人公が多いのです。

物分りが悪いとは頭が悪いという意味ではなく、抵抗しなくても良い場面で抵抗してしまう、そして、より辛いほうの人生を歩んでしまうという意味です。

主人公だからこそ反社会的行動を取るというのは珍しくありません。ですが、ガンダムパイロットであり、ガンダムの主人公たちは自分たちの信念を曲げないという強みがあり、これが人々を魅了する要素の1つとなっていきます。

ガンダムの場合、アムロ・レイ(ファーストガンダムの主人公)の知名度が高く、アムロ・レイは「僕が一番ガンダムを上手く使えるんだ」という名言も残しつつ、また、同世代のアニメファンをグイグイと惹きつける不思議な魅力がありました。普通に考えると、自己主張の激しい子どものように見えるかもしれませんが、仲間思いであったり、受け容れたくない現実との葛藤もあるため、このような台詞がアニメファンの心を掴んで離さなくなるのです。

また、ガンダムの世界では戦いの背景をしっかりと捉えています。戦闘に関する描写だけでなく、なぜ主人公はガンダムパイロットになったのか、その後、戦況はどのように変化したのかという部分で、このような細かい描写もガンダムの魅力と言えるでしょう。

時代によって変化する!千変万化の魅力に日本人以外もハマる

最近のガンダムと、昔のガンダムはデザイン、雰囲気ともにかなり変化しています。

昔のガンダムは硬派というか、戦争を描いている作品という感じでした。ですが、最近のガンダムは主人公がテロリスト集団であったり、世間的にそのように認知されることが多くなってきました。

といっても、主人公たちが喜んでテロリスト集団に加わっているわけではなく、反政府組織として追われているというケースのほうが多いです。

その他の変化では、ハイスピードアクションがかなり増えました。ファーストガンダムと比較すると良くわかるのですが、ガンダムは同じような時代をループさせている作品ではなく、少しずつ変化していく時代であり、宇宙世紀を前提としたアニメ作品なのです。

そのため、ユニットに搭載される兵器も変化していますし、1機のユニットが敵勢力のほとんどを打ち倒すといった、華々しいシーンもかなり増えました。このような変化を見られるところも、ガンダムならではの特徴と言えるでしょう。

一度見ると忘れられない!愉快な世界観、富野節炸裂の作品∀ガンダム

∀(ターンエー)ガンダムですが、富野由悠季氏らしい表現が多いガンダム作品です。

∀ガンダムで見られる表現のほとんどは、近年の富野由悠季氏の作品でも見ることができます。例えば、コミカルなキャラクターが多いところ、もしくは、戦争をテーマにして、戦争の加害者だけでなく、被害者側の視点を設けているところが、富野由悠季氏らしさと言えるでしょう。

富野由悠季氏は、キングゲイナーでもコミカルなキャラクターを生み出し、そして、独特な雰囲気の争いごとを描くことが多いです。∀ガンダムの場合、地球という偉大な星に下り立った少年が、地球人と交流を深めていく作品として描かれています。

∀ガンダムの魅力は、純粋な少年が戦争であり、戦争の裏に潜むものと対峙するところにあります。少年の視点で描かれている作品というと、ファーストガンダムに似た世界観でもあるのですが、∀ガンダムの世界は、古い文明が遺っているだけで、基本的に文明が発展している世界ではありません。

そのため、ガンダムの存在を知ってから、ガンダムという文明を掘り起こすことに執着するようになっていくのです。主人公のローラ・ローラは、このような世界のありように嘆くこともあれば、男性として弱い人たちを守る意志を固めるようになっていきます。

このような人間ドラマこそ、富野由悠季作品の真骨頂と言えるでしょう。そのため、∀ガンダムの中では悲惨な戦闘が繰り返されるというよりも、どちらかというと戦争をやめさせたい主人公側、そして、敵側にも同様の意思を持つものが紛れているという魅力があります。

この魅力であり特徴をわかりやすくしたものこそ、地球側、月側の代表者の入れ替えでしょう。代表者らは背格好が似ているということもあり、また、お互いに気の合うものとして仲良くなっていくのですが、個々の思惑もあり、代表者の入れ替えを行ってしまうのです。

ハラハラドキドキの展開となるのですが、このような普通では起きない、非現実の面白さも∀ガンダムの魅力と言えます。

そして、その他の∀ガンダムの魅力はというと、それは、なぜ栄えた文明が滅んでしまったのか、文明が滅んでしまったはずなのに、ガンダムなどの兵器は遺っているのかという謎です。∀ガンダムには恐ろしい兵器が搭載されており、ナノマシンを搭載している以外の強みがあります。

ただ、こちらは兵器として運用できる代物ではなく、オーパーツのように、人類が触れてはいけない要素を併せ持つ兵器なのです。このような事実は、味方、敵ともに一部の人物しか知りません。

そして、∀ガンダムを兵器として運用したいもの、∀ガンダムを守護者として運用したいものの争いが起きるのです。主人公のローラ・ローラは、健気にも敵との戦いに応じて仲間を守り、またパイロットとして、辛い別れを選択しないといけない場面も出てきます。

∀ガンダムは、これだけでも良くできたストーリーとなっているのですが、月にいる軍人らの存在感も強く、∀ガンダムと相対するガンダムが出てきてからは、戦闘面も楽しめる作品となっています。∀ガンダムは、ファーストガンダムのような雰囲気を併せ持つだけでなく、時に強力な兵器が人類に仇なす、そのような恐ろしさを上手にまとめたガンダム作品として評価できます。

サテライトキャノンの存在が大きい!浪漫が詰まっているガンダムX

ガンダム作品の中でも異彩を放つ作品に、ガンダムXという作品があります。

ガンダムXが異彩を放っている理由は、サテライトキャノンという兵器にあるのですが、今までのガンダムとは違い、主人公であるガロード・ランが搭乗するガンダムXが、物語の分岐点で大きな行動に出る、これこそガンダムXならではの魅力と言えるでしょう。サテライトキャノンは、月に存在する基地からマイクロウェーブを受けて、その力をサテライトキャノンから放つというものです。

通常の兵器とは比較にならないほど、大規模の攻撃が可能になる一方で、月の基地とコンタクトを取れる人物である、ティファ・アディールの存在が重要視され、また、マイクロウェーブが届くまでの時間を狙って、敵から攻撃を受けてしまうシーンもありました。つまり、ガンダムXの魅力を簡潔にまとめると、サテライトキャノンという浪漫に等しい一撃を、タイミング良く放てるかどうかとなります。

このような作りとなっているため、ガンダムXの中盤までは、それほどサテライトキャノンを放てないシーンもありました。しかし、このようなシーンがあったからこそ、ストーリーが単調にならないで済んだとも言えますし、ガロード・ラン、そして、ジャミル・ニートらと共に行動する傭兵たちが、良く活躍することができたとも言えます。

ガンダムXの面白いところは、サテライトキャノン1発ごとにストーリーが進んでいくところです。例えば、艦長であるジャミル・ニートは、元々はサテライトキャノンを発射する側であり、パイロットとして活躍していた時期があったのです。

ですが、戦争の後遺症によりパイロットとして活躍するのではなく、艦長として活動するようになります。しかし、そんなパイロットとしての時代を忘れたい、ジャミル・ニートにも転換期が訪れるのです。

例えば、ティファ・アディールの存在であったり、オールドタイプにも関わらず、懸命にティファ・アディールを護ろうとしているガロード・ランであったり、ジャミル・ニートの心を強く動かす存在が増えていきます。物語の後半からは、ジャミル・ニートもパイロットとして活躍するようになるのですが、戦争の一部のみ見せるのではなく、過去にできた出来事、そして精算しないといけない現実を見せる手法というのは、ガンダム作品の中でも珍しい表現でした。

このようなシーンもあり、ガンダムXは、サテライトキャノン以外の魅力もある作品となったのです。また、ストーリーが後半に差し掛かると、戦争の中で成就する恋などが増えていきます。

ガンダム作品には多くの男女が登場しますが、ガンダムXのように話の中で恋愛感情、恋愛関係が描かれているものは少なく、このような面でも他のガンダム作品とは違った内容になっています。

その他の魅力では、ニュータイプ能力の研究と、その研究の被験者たちの存在があります。中でも目を引くのがフロスト兄弟の存在感でしょう。

フロスト兄弟は兄、弟ともに、ニュータイプ能力の評価に納得していません。そのため、能力の評価を認めないための戦闘が多く、ガロード・ランに突っかかる場面も多く出てきます。

ですが、ガロード・ランという、ニュータイプ能力を持ち合わせていない少年と何度も戦うことによって、ガロード・ランを認めるようになっていくシーンも描かれているため、戦争の虚しさ、そして被害者側のメッセージを、作品内で理解していくことができる作品としても描かれているのです。

数少ない熱血のガンダム!拳で語る場面が多い機動武闘伝Gガンダム

ガンダム作品の中で、熱血要素が色濃く出ているものと言えば、機動武闘伝Gガンダムでしょう。

機動武闘伝Gガンダムの作品内容を簡単に説明すると、デビルガンダム、そして、デビルガンダムに抗わないといけない主人公ドモン・カッシュの、苦悶ともとれるような激闘をまとめた作品です。他のガンダム作品との大きな違いは、機動武闘伝Gガンダムというタイトルのとおり、ガンダムパイロットではなく、ガンダムファイターが出てくるところでしょう。

機動武闘伝Gガンダムの世界では、代理戦争のような形でガンダムファイトが地球内で行われます。主人公であるドモン・カッシュは、レイン・ミカムラの助力もあり、ガンダムファイトを好調に勝ち進めていきます。ですが、ドモン・カッシュの師匠であるマスター・アジア、謎の覆面を被る忍者、そして、デビルガンダムの勢力により、戦いがさらに激化していくようになります。

最初は、マスター・アジアとの戦闘を通じて、ドモン・カッシュは戦闘だけでなく、武闘家として成長していくのですが、物語が進むに連れてマスター・アジアとの関係が悪化していきます。機動武闘伝Gガンダムに登場するドモン・カッシュは、今までのガンダム作品と比較して、少年というより大人に近いデザインで描かれているため、どこか無骨な雰囲気もあるのですが、マスター・アジアを頼りにする一方、依存している一面が見られる子どもっぽいキャラクターです。

しかし、味方、師匠から活を入れられることで、なぜ自分はガンダムファイターとして戦っているのか、また、戦ってくれている相手に対する礼儀など、精神面も強化されていく内容になっています。機動武闘伝Gガンダムの面白いところは、お約束と言われている展開を外さないところでしょう。

主人公は覚醒するごとに新必殺技を放ち、そして、敵を1体、また1体と倒し続けるのです。

これだけでも十二分に面白いのですが、機動武闘伝Gガンダムに出てくる機体は、拳を用いて戦うことが多いため、格闘戦を見ることができる稀有な作品となっています。主人公であるドモン・カッシュが乗る機体も、拳を駆使して戦う設計となっているため、拳を握って殴るだけでなく、敵を掴んで必殺技を放つシーンまで出てきます。

長くガンダム作品を見てきた人ほど、このようなシーンで唖然となるかもしれません。また、このように普通では見られないシーンが多いのですが、主人公たちの熱血により、このようなことに疑問を感じるのは最初だけとなります。

物語が進むに連れて、デビルガンダム、そしてデビルガンダムに組み込まれているパイロット、シャッフル同盟の存在が明らかになっていきます。それだけでなく、機動武闘伝Gガンダムの代名詞とも言える必殺技も出てきますので、最初から最後まで熱い展開が続くところも魅力的でしょう。

そして、なぜマスター・アジアとデビルガンダムがつながっていたのか、このようなことも明らかになっていき、ドモン・カッシュは、マスター・アジアでありシャッフル同盟の意思を継ぐシーンも出てきます。今まで実力を認めあっていた強者たちも、シャッフル同盟を受け継ぐようになり、本格的に1つの団体として動くようになってからは、手に汗握るようなシーンが長く続くのです。

中二病を大量生産!個性的なパイロットが味方、敵に多いガンダムW

今では、中二病という言葉を知っている人が多いほど、アニメを通じて色々な言葉が良く浸透するようになりました。

ですが、ガンダム作品の中で中二病の性質が強い作品というと、一番に挙げられるのがガンダムWとなります。どのようなところに中二病の要素があるのかというと、それは、パイロットであり主人公たちが、中二病そのままというところでしょう。

そもそも中二病とは、中学二年生に良く見られる妄想、憧れのことで、格好良いものに憧れたり、そのような格好良いものを意識しすぎて、キャラクター設定を自分に投影するなど、一般人と比較すると痛い生き方をしている人物のことです。ですが、今ではアニメ文化が浸透するようになり、中二病を発症するのは子どもばかりではありません。

そんな中二病の前身となっているアニメ作品こそ、ガンダムWのような中二病キャラクターの多いガンダム作品です。

ガンダムWの場合、メイン主人公であるヒイロ・ユイというキャラクターが、中二病の塊のような存在として出てきます。というのも、高いところから落ちても無事なほど体が丈夫、戦士としての訓練を受けている、指導者の名を継いでいる人物だからです。

大人であれば、このようなキャラクターがいたとしても不思議ではありません。ですが、ガンダムWの主人公たちは少年なのです。

ガンダムWには5人の主人公が登場するのですが、ヒイロ・ユイだけでなく、デュオ・マックスウェル、トロワ・バートン、カトル・ラバーバ・ウィナー、ウーフェイたちも、かなり過激であり中二病そのままのキャラクターたちです。では、どうしてガンダムWは多くの人たちに受け容れられたのかというと、それは、中二病が浸透していない時代であったこと、ガンダム作品の雰囲気を変える作品であったところが強いです。

ガンダムWの中では、平和主義者たちと、兵器を開発することで地球を統一する意思を持つものたちが出てきます。

平和主義者はリリーナ・ピースクラフトを代表として活動を続け、やがてはヒイロ・ユイなど主人公たちの助力を経て、平和主義者としての道をヒイロ・ユイと歩むようになるのです。そして、その際には戦争で使用したガンダムが破棄されるようになり、ガンダムWの物語が終わってしまうという内容になっています。

このように、ただ中二病キャラクターたちが戦争を仕掛ける、戦争を集結させるのではなく、戦いとはなんなのか、戦いを終わらせるために必要なこととはなんなのかを描いているため、一般の人からも支持される作品となりました。他から避難されてもおかしくはない、そんな大規模なプロジェクトに参加した主人公たち、そのため、無理がたたってからは戦いの激化に苦しみ、また、仲間との関係もどことなく疎遠なものになっていくのです。

ガンダム、戦争、少年少女といった、定まったテーマで躍動する世界観、中二病は、そんなガンダムWの世界では細やかなスパイスなのかもしれません。

このように、世界観、キャラクターたちだけでも楽しい作品なのですが、ミリアルド・ピースクラフト、トレーズ・クシュリナーダのように、主人公たちと敵対することのあるキャラクターたちも魅力的です。主人公のような子どもばかりが戦っているわけではない、そして、戦争に対して適切な判断、責任を問うことの大切さを、これらのキャラクターたちが教えてくれます。