サテライトキャノンの存在が大きい!浪漫が詰まっているガンダムX

ガンダム作品の中でも異彩を放つ作品に、ガンダムXという作品があります。

ガンダムXが異彩を放っている理由は、サテライトキャノンという兵器にあるのですが、今までのガンダムとは違い、主人公であるガロード・ランが搭乗するガンダムXが、物語の分岐点で大きな行動に出る、これこそガンダムXならではの魅力と言えるでしょう。サテライトキャノンは、月に存在する基地からマイクロウェーブを受けて、その力をサテライトキャノンから放つというものです。

通常の兵器とは比較にならないほど、大規模の攻撃が可能になる一方で、月の基地とコンタクトを取れる人物である、ティファ・アディールの存在が重要視され、また、マイクロウェーブが届くまでの時間を狙って、敵から攻撃を受けてしまうシーンもありました。つまり、ガンダムXの魅力を簡潔にまとめると、サテライトキャノンという浪漫に等しい一撃を、タイミング良く放てるかどうかとなります。

このような作りとなっているため、ガンダムXの中盤までは、それほどサテライトキャノンを放てないシーンもありました。しかし、このようなシーンがあったからこそ、ストーリーが単調にならないで済んだとも言えますし、ガロード・ラン、そして、ジャミル・ニートらと共に行動する傭兵たちが、良く活躍することができたとも言えます。

ガンダムXの面白いところは、サテライトキャノン1発ごとにストーリーが進んでいくところです。例えば、艦長であるジャミル・ニートは、元々はサテライトキャノンを発射する側であり、パイロットとして活躍していた時期があったのです。

ですが、戦争の後遺症によりパイロットとして活躍するのではなく、艦長として活動するようになります。しかし、そんなパイロットとしての時代を忘れたい、ジャミル・ニートにも転換期が訪れるのです。

例えば、ティファ・アディールの存在であったり、オールドタイプにも関わらず、懸命にティファ・アディールを護ろうとしているガロード・ランであったり、ジャミル・ニートの心を強く動かす存在が増えていきます。物語の後半からは、ジャミル・ニートもパイロットとして活躍するようになるのですが、戦争の一部のみ見せるのではなく、過去にできた出来事、そして精算しないといけない現実を見せる手法というのは、ガンダム作品の中でも珍しい表現でした。

このようなシーンもあり、ガンダムXは、サテライトキャノン以外の魅力もある作品となったのです。また、ストーリーが後半に差し掛かると、戦争の中で成就する恋などが増えていきます。

ガンダム作品には多くの男女が登場しますが、ガンダムXのように話の中で恋愛感情、恋愛関係が描かれているものは少なく、このような面でも他のガンダム作品とは違った内容になっています。

その他の魅力では、ニュータイプ能力の研究と、その研究の被験者たちの存在があります。中でも目を引くのがフロスト兄弟の存在感でしょう。

フロスト兄弟は兄、弟ともに、ニュータイプ能力の評価に納得していません。そのため、能力の評価を認めないための戦闘が多く、ガロード・ランに突っかかる場面も多く出てきます。

ですが、ガロード・ランという、ニュータイプ能力を持ち合わせていない少年と何度も戦うことによって、ガロード・ランを認めるようになっていくシーンも描かれているため、戦争の虚しさ、そして被害者側のメッセージを、作品内で理解していくことができる作品としても描かれているのです。